サステナビリティ
社会貢献部会
基本的な考え方
H.U.グループでは、1981年に一般の方々に医療の諸課題について学ぶ公開シンポジウム、次世代臨床検査技師の育成・研究奨励事業、そして、事業所周辺住民を対象にした地域振興の前身となる活動をスタートさせました。従来からの活動を推進しながらも時代の社会課題と向き合った「H.U.グループらしいアプローチ」を続けます。
フィランソロピー活動方針
2018年10月1日制定
2020年7月1日改定
H.U.グループが推進するフィランソロピーにおいては、健康で豊かな社会の実現を目指し、事業領域を超えて活動します。持てる資源を有効に活用し、定量・定性的な成果を社内外に常に発信しながら社会の一員としてグローバルに展開します。
- 健康、人材、環境、地域、災害に関わる様々な社会課題の解決を目指し、独自性の高い活動を展開するNPO・患者会などと協働し、とりわけマイノリティー課題に長期的に向かい合っていきます。
- 従業員によるフィランソロピー活動への自発的な参画が、個々人の成長、自己実現につながり、グループの一員であることに誇りを持てるよう活動を支援する諸制度の整備とその実効性ある運用を推進します。
- フィランソロピー活動を通じて見出された知見・課題認識と、事業を通じて培った専門技術を融合して新たなアイデアを生み出すとともに、従業員個々人が保有する様々なスキルや問題意識を活かしたフィランソロピー・プログラムの開発に努め、自社の特徴を常に問い直します。
体制・責任者
H.U.グループホールディングスの社会貢献部会において、新規の社会貢献活動に関する計画を策定、実行し、各拠点で行われている地域貢献活動などは各部門主導の体制として適宜連携しています。それらの活動計画や成果については定期的に進捗を把握し、今後の対応や是正活動に努めていきます。
取組内容
変化の激しい時代では、人類社会・地球環境など世界中で様々な課題が顕在化しています。こうした中、当社グループでは事業領域を超えた課題解決にも、フィランソロピー活動として積極的に取り組んでいます。またグループ各社においてボランティアを目的とした休暇制度や交通費支援制度を定め、従業員の自発的な活動も合わせて推進しています。
医薬品・医療アクセス向上への取り組み
当社グループでは、世界の医薬品・医療アクセスの課題を事業に関わる顕著な人権課題の1つと考えています。このため、検査・関連サービス、臨床検査薬、ヘルスケア関連サービスの主な3事業と、これらを支える研究開発を通じて、「H.U.グループ企業行動指針」の(5)公正で自由な競争と(6)適正なプロモーション活動の規定を遵守し、グローバルで高質な医薬品・医療へのアクセス向上に取り組んでいます。
主な事業 | 関連する主な取り組み |
---|---|
検査・関連サービス | グローバルな医薬品の研究開発をサポート |
臨床検査薬 | 世界の診断薬企業からのCDMO(受託開発製造)、 インフルエンザ・新型コロナウイルスなどの感染症の迅速診断キットの提供 |
ヘルスケア関連サービス | 病院および福祉・介護の業務効率化を支援 |
ー グローバルヘルス技術振興基金「GHIT Fund」への参画
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府、民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、英国ウェルカム財団、国連開発計画が参画する日本発の国際的な官民ファンドであり、日本と海外の研究機関の連携を促進し、開発途上国で蔓延する感染症に対する治療薬や診断薬等の開発を推進しています。
当社グループでは、パートナーシップにより日本発のイノベーションを活かして感染症と闘うという活動趣旨に賛同し、連結子会社である富士レビオHDを通じて、研究開発成果を世界各地での感染症対策に活用することをめざし、GHIT Fund に参画しています。
ー 医薬品・医療サービスの安全性と責任
H.U.グループ企業行動指針の(2)では、「製品やサービスの安全性と品質の確保は、H.U.グループの事業活動における最重要事項」と規程しており、これを遵守するため、当社グループ会社が加盟する、一社)日本臨床検査薬協会の上位団体「日本製薬団体連合会」の医薬品安全対策情報(DRUG SAFETY UPDATE:DSU)等を活用し、常に安全性の高い医薬品・医療サービスの提供に取り組んでいます。
ー 医薬品・医療サービスの責任あるプロモーション活動について
各事業に関連する業界団体のガイドラインや自主ルール(※1)を参考に、当社グループでは各事業に即した具体的な独自の行動基準となるプロモーションコードを策定し、適正で責任ある宣伝・マーケティング活動を推進しています。また、お取引先等にも当該プロモーションコードの趣旨を説明し、理解を求め、協同して遵守するように働きかけています。
1: 参考ガイドライン等
・医療機器業公正取引協議会「医療機器業公正競争規約」
・日本臨床検査薬協会「臨床検査薬プロモーションガイドライン」、「体外診断用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」
・日本衛生検査所協会「検体検査プロモーションコ-ド」 他
ー コンプライアンスを確保するための教育研修と企業監査
当社グループ独自の行動基準に基づき、DMR(Diagnostics Medical information Representatives: 臨床検査薬情報担当者)などのプロモーション活動に適切な者を任命し、その任務にかかわるすべての社員に対して日本臨床検査薬協会が定めた「臨床検査薬情報担当者・教育研修マニュアル」などを活用した教育研修を実施しています。また各業務の責任者と担当者を設置し、コンプライアンスの遵守と改善状況の監督を行っています。
〈フィランソロピー活動での取り組み〉
一方では、貧困や紛争・災害あるいは医療体制の未整備などの理由により、必要な医薬品・医療サービスが受けられない人々への支援に課題があることを認識しています。
また、効果的な治療が難しく生活に支障をきたしている希少・難治性疾患の方々への支援に課題があることも認識しています。
こうした課題解決に向けて、当社グループは事業のみならずフィランソロピー活動としても取り組んでいます。
〇国境なき医師団(MSF)への寄付
国境なき医師団(Médecins Sans Frontières:MSF)が1999年にノーベル平和賞の賞金を基に開始した「アクセス・キャンペーン」(旧名:必須医薬品キャンペーン)の主旨である、「医療ツールの障壁をなくし、すべての患者さんが健康に生きるために必要な医療を受けられるよう、薬や治療法、診断法、ワクチンなどの、開発と利用の促進を求める」に賛同し、MSFの活動を支援しています。
この一環として、2023年2月に発生した「トルコ・シリア地震」に際しては、MSFが現地で行う医療・人道援助活動を支援するため、従業員募金にマッチングギフト(企業寄付)を添えて寄付を行いました。
〇希少・難治性疾患の日、啓発イベント運営支援
世界希少・難治症疾患の日(Rare Disease Day:RDD※)において、スポンサー企業として活動を支援しています。また、RDD Tokyoイベントの当日では、当社の従業員がボランティアとして運営に携わり、希少・難治性疾患の認知度向上に協力するとともに、社内カフェエリアにRDD in Japanポスターを掲出することで、従業員への啓発活動にも取り組んでいます。
RDDとは
2月最終日またはその前後で希少・難治性疾患を知る世界的な啓発イベントです。
従業員が行う体験型社会貢献活動
■災害ボランティア活動の支援
自然災害等が発生した際に、被災地で様々な活動を担う「災害ボランティア」の活動を行う従業員に対し、ボランティア休暇の取得や交通費支給などの制度を整備し、その活動を応援しています。
(右画像は、豪雨災害で甚大な被害を受けた被災地で、床上浸水した家屋からの土砂掃出し作業に集まった当社グループの従業員)
■地域コミュニティとの交流・振興
各地の事業所・施設では、地域交流や振興支援を目的に、環境美化活動や祭事などの様々なイベントを開催しています。1981年から事業所の施設を一般解放した地域交流イベントを継続的に開催しています。H.U. Bioness Complex(あきる野市)では「さくら祭り」を開催しており、2024年3月には地域のお住いの方々など約1,200名がご来場されました。今後も地域コミュニティとのつながりを深める活動を進めて行きます。
■ドナルド・マクドナルド・ハウスの運営支援
公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンでは、入院中の子どもたちと、それを支えるご家族の経済的・精神的負担を減らすため、病院に隣接した滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を全国で運営されています。この趣旨に賛同し、全国のグループ会社従業員からボランティア参加者を募集しています。2023年度は、全国12カ所の施設に延べ71名が訪問して、室内清掃や屋外作業等を行い、ご利用者の快適な滞在環境づくりに協力しました。また、参加者の発案で「衛生手袋の物品寄付」を行い、施設備品としてお役立ていただく等、支援範囲も広がっています。
■地域コミュニティへの奉仕活動
当社グループの事業は、地域コミュニティとの共生で成り立っていることを認識し、環境美化で地域振興に寄与することを目的に、各地で清掃活動を実施しています。また、降雪地域では公共設備の雪かき作業も行い、安心安全な地域づくりに取り組んでいます。
〈主な活動実績:2023年度〉
活動地域 | 回数 | 参加者(延べ人数) |
---|---|---|
富士レビオ(株) 十勝帯広工場 | 14回 | 66名 |
富士レビオ(株) 宇部工場 | 4回 | 97名 |
グループ本社(東京都新宿区・港区)※ | 16回 | 30名 |
本社を2023年5月に移転
資金や物資を寄附する活動
■各国政府への新型コロナウイルス検査キットの無償提供
世界中で新型コロナウイルスが蔓延する中、当社グループが開発した迅速抗原検査キットをネパールやパキスタンの各政府に寄付することで、各国内での拡大防止を支援しました。また、大学等の教育機関における感染拡大防止を目的に、同キットを文部科学省に無償提供しました。なお、同キットの増産に対しては、2022年5月に厚生労働省・経済産業省から感謝状を授与されました。
■従業員の寄付に対するマッチングギフト(企業寄付)
従業員が被災地支援などを目的に実施した自主的な社内募金に対し、当社からマッチングギフトとして金額を上乗せする仕組みを整備しています。2022年度では「国境なき医師団」を通じてトルコ・シリア地震の救援寄付を実施しました。2023年には「九州・中国・東北地方の豪雨災害」に際して従業員募金を呼び掛け、同額を当社のマッチングギフトとして添えて、公益社団法人CIVIC FORCEに寄贈いたしました。さらに、2024年では「能登半島地震」の発生を受け、被災地の救援・復興を支援するため、当社グループの従業員約190名(延べ人数)が総額150万円超の募金寄付を行い、当社からも同額をマッチングギフトとして日本赤十字社に寄付いたしました。
■公益信託を通じた医療貢献
若手研究者の研究奨励と医学の進歩・技術の高度化に寄与することを目的とした「公益信託臨床検査医学研究振興基金」の運営を30年以上にわたり続けています。当初信託財産の3億円を原資に、取引の有無を問わず病院や研究者も対象として業界全体の底上げに寄与しています。
■Philabundanceフードドライブ
米国ペンシルベニア州マルバーンを拠点とするグループ会社Fujirebio Diagnosticsでは、地元NPOのPhilabundanceの活動に賛同し、ホリデーシーズンに実施される年に一度の「Philabundanceフードドライブ※」に参加しました。この米国最大のイベントは、困っている人々に食料を届けることを使命としています。従業員は、1トン(2,000ポンド)という目標を設定し、最終的には2,061ポンドの食料を集め、寄附しました。
フードドライブ:
家庭や企業で余っている食べ物を持ち寄り、それらをまとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
専門性を活かした活動
■海外研修生の受け入れ
独立行政法人国際協力機構(JICA)より、発展途上国の検査技術者およびその監督者を対象とした研修生を受け入れ、検査技術の交流などを行っています。また、富士レビオは、WHOやUNICEFなどの国際機構を通じ、発展途上国へも製品を輸出しており、世界の医療へ貢献しています。
■中学校・高等学校等の教育支援
全国の大病院から寄せられる検体を分析し、特殊検査を担う大規模ラボラトリーにおいて、中学生・高校生の職場見学や学習支援を受け入れています。専門知識に習熟した従業員が引率、説明することで社会学習教育に寄与した地域貢献に努めています。
2023年度では、障がい者特別支援学校の生徒さん達を当該施設にお迎えし、キャリア教育に役立つ見学会として、検査施設や業務説明などを実施しました。今後も、「児童の権利に関する条約」及び「子どもの権利とビジネス原則」を支持・尊重し、こうした活動を通じて次世代を担う子ども達を応援していきます。
■医療の発展に寄与する教育シンポジウム
H.U.グループの一員である富士レビオは、1981年より40年以上にわたり毎年1月に「メディコピア教育講演シンポジウム」を開催しています。シンポジウムでは、基本テーマ「臨床医学と基礎医学の交流と発展」に沿って、医学的な問題をより広い視野から捉えた講演や討議を行っております。
コミュニティ活動への投資
当社グループは、持続的な社会発展と事業成長を目指す経営上の重要課題であるマテリアリティの1つに「全てのステークホルダーとの関係性」を設定し、社会問題や環境問題に対する課題解決に取り組んでいます。私たち人類をはじめ、自然環境、そして自らの経営を含む全方位で、「サステナブルで健康な未来」の実現を目指し、コミュニティ投資を行っています。
単位:円
実績 | |||||
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活動領域 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
健康で豊かな社会 | 53,315,771 | 60,466,788 | 68,931,813 | 77,465,200 | 83,535,727 |
人材育成 | 6,800,000 | 40,481,818 | 26,000,000 | 22,353,862 | 20,788,252 |
環境保護 | 100,000 | 0 | 0 | 1,086,176 | 935,857 |
地域コミュニティ | 11,034,160 | 310,000 | 1,465,500 | 14,833,587 | 15,880,279 |
災害支援 | 304,673 | 73,100 | 0 | 500,000 | 11,614,729 |
文化芸術 | 300,000 | 0 | 3,401,320 | 200,000 | 200,000 |
合計 | 71,854,604 | 101,331,706 | 99,798,633 | 116,438,825 | 132,954,844 |