H.U.グループの使命は、人体から発されるさまざまな“メッセージ”を臨床検査で正確に読み取り、その結果を医療現場にフィードバックすることで、医療や社会に貢献することです。その責任を従業員一人ひとりが常に意識し、事業を通じて健康で豊かな社会の実現に貢献していくことは、私たちの最も大きな使命であり、サステナビリティの根幹をなすものでもあります。そして、この使命を今後も果たし続けるために、H.U.グループは今、自らを大きく変革(Transform)していかなければならない――私は、そう考えています。

H.U.グループを取り巻く事業環境と、ステークホルダーからの期待は大きく変化しています。例えば医療の進歩において、がんゲノムをはじめとする遺伝子治療や再生医療は、日進月歩で進化を遂げています。当然、臨床検査もこの進化に対応することが必要であり、新たな医療の世界においても、H.U.グループの価値を提供し続けられるよう、我々自身が進化していく必要があると考えています。変わったのは医療だけではありません。社会からの期待、意識や考え方が大きく変化しています。

企業理念に掲げた「医療における新しい価値の創造」を象徴するプロジェクトのひとつが、2017年に設立したみらか中央研究所(現H.U.グループ中央研究所)です。同研究所では、基礎研究に注力することで、次世代の事業シーズを継続的に生み出すことを目指しています。 同年6月には、あきる野プロジェクト構想も発表しました。あきる野プロジェクトは、まさにイノベーションを起こすための施設です。従来のラボの単なる改良版にするつもりは全くありません。積極的に自動化やAIの技術を導入し、処理時間の短縮や人為的ミスの軽減など、検査品質の向上を実現するなど、これまでの検査のあり方を根底から覆すようなものにしたいと考えています。また、将来の事業シーズを生み出す研究開発活動も充実させるべく、R&D棟も設ける予定です。その一方で、我々の責任である「検査を止めない」ために、建物そのものを免震構造にすることで、地震発生時においても事業が継続できる対策も講じています。

変革の鍵を握るのは、やはり「人」です。今、私たちは、従業員一人ひとりの意識と行動を変えていくソフト面の改革に力を注いでいます。
これまでの仕事のやり方や成功体験、事業会社の垣根に固執するのではなく、リスクをとって変革に挑戦すること、そして、挑戦や成功を称えあうことが求められています。これらを組織風土に根付かせる上で重要な役割を果たすのが、「医療、健康ニーズに応え、お客様の期待を超える」「全てのステークホルダーからの信頼を向上させる」など、サステナビリティの基本をなす考え方であると、私は信じています。2017年より運用開始している価値観・行動様式にこれらの内容を盛り込んだ理由は、ここにあります。
変化をおそれるのではなく、変化を楽しみ、新しい一歩を踏み出す。H.U.グループは、改めてグループ一丸となって、医療における新しい価値の創造に挑戦していきます。